狂犬病予防法に関しては、今、殺処分のあり方に関してのみ改定の動きがありますが、狂犬病ワクチンのあり方に関しても疑問を持っている方々は多いと思います。
そのような疑問をお持ちの方にお勧めする、いや、すべての犬飼さんたちに読んでいただきたい良書です。
この話になると、「もし狂犬病がまた流行りだしたらどうする?誰が責任をとる?」とか、「とにかく恐い病気だからワクチン接種は絶対しなければならない」とか、ほとんど非科学的な、妄想とも言える根拠の無い話が横行し、宗教論争のようになりがちです。
著書は、狂犬病に関する歴史や資料、海外での情況を踏まえ、日本に狂犬病が再浸入するシュミレーションをいくつか提示しています。
#もちろん現状の日本に狂犬病が流行するなんて、そんな馬鹿げた妄想シュミレーションはありませんのでご安心ください。
人畜共通感染症の専門家から提言される、現状の狂犬病ワクチン接種に対する行政への疑問、狂犬病予防法を新しくしなければならないという提案は大変説得力があり、私が今まで疑問に思っていたことも氷解して、大変気分良く読むことができました。
ちなみに、犬用の狂犬病ワクチンは北里柴三郎氏の弟子である梅野信吉氏が発明し、日本で成功をおさめ、世界各国で狂犬病撲滅のためにこの手法が使われていった、ということです。
つまり、犬に対する狂犬病ワクチンの接種とその利用方法は日本が元祖なのです。
#動物、人用のワクチンは、ピエール・ゴルチエが発明し、ルイ・パスツールによって応用され広まったそうです。
http://micro.fhw.oka-pu.ac.jp/microbiology/history/rekisi.html#梅野
獣医学博士梅野信吉は、明治25年に北里柴三郎博士が私立衛生会伝染病研究所創設の時、同所に入って血清製造技術部の主任となった。明治25年以来40年間、忠実にその職務を果たした努力家でった。容貌魁偉な男子、ますらおであって、先輩を厚く敬い、義侠的精神の動くところは何ごとも恐れない意気があった。しかも、研究には熱心で、観察力が緻密な人であった。
血清製造の傍ら牛痘苗(天然痘の予防接種)の研究に勢力を注ぎ、ついに犢(仔牛のこと)体継代法を大成した。勲六等旭日章を賜わったのはこの時である。ハワイ在住の同胞より、精工な胸像を贈られた。
梅野の説明によれば、一定面積の畑に種子を播くとき沢山播くと芽は密生して出るが発育は遅くい小さい。これに反してを疎に種子を播くと強大に生長する。これと同じく、犢体に天然痘ワクチンの種(痘苗)をうえる場合これをある程度希釈して接種すれば発痘が強大である。従って、痘苗は代を重ねても減弱することがない。彼の犢体継代法は、要するにこの原理に基づいたものである。このようにして、彼は牛痘苗の大量製造に、世界で初めて成功したのであった。
彼は、またこの痘苗製造より考え、狂犬病が痘菌と同じくグリセリンに対して抵抗力の強い点より、病毒は両者同一種に属するものと推定し、犬に対する狂犬病予防ワクチンを製造した。このワクチンは1回の注射によって、犬を完全に免疫させてしまうというもので、狂犬病のワクチンの発明者であるパストゥールが望んでなし得なかったものを完成したのである。
これこそ、狂犬病の真の絶滅法であり、そのうえその実施が容易であるので、この梅野氏法はやがて全世界で行われることになった。該法は梅野氏の名とともに、こうして世界の予防医学に永久に伝えられるべきものとなった。
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