1月
30

川にはまりました

WRITTEN ON 1月 30th, 2001 BY ごん父 AND STORED IN 旧散歩日記 2001

夜9時、散歩に出る。
いつもの公園に行き、辺りを見回した。
さすがにこの時間だと誰もいないな、と注意を払いつつ【ごん】の首輪からリードをはずした。

【ごん】はしばらく、あっちこっちの臭いを嗅いだり、走り回ったりしていた。

ごんちちはベンチに座って一服していた。
一通りの用事が済んだのか【ごん】はごんちちに「あそぼうよ」とアイコンタクトをしてきたが、ごんちちは一度ベンチに座ったが最後、動こうとしない。
あきらめた【ごん】は公園の隣に流れている川へ向かって走っていった。

川とはいっても生活排水の流れていると思われる、小汚い小さな川である。たまに釣りをしている人もいるが、暇つぶしをするにしても、もう少しマシな所で竿をだしてくれよ、と言いたくなる。

川沿いには丸木とロープで作られた簡易な柵があるだけで【ごん】がそこを通り抜けるのは簡単である。しかしその柵の川側には2メートル程の高さのコンクリの壁があり、その下に川が流れているのである。
【ごん】がその高さを飛び降りるわけはないと考えたが、ごんちちは、一瞬、テレビでよく見かける、川とか海に落ちた犬を助けるシーンを思い浮かべた。

そんなテレビに出てくるような事があるはずはないと、ごんちちは川へ向かっていく【ごん】を目で追いながら煙草をふかしていた。

【ごん】の姿が見えなくなって、たぶん1分もたっていなかったに違いない、妙な胸騒ぎがして、【ごん】の様子を見に川へ近よっていった。

ごんちちは約2メートルの高さから川を見おろしてみた。
暗かったが【ごん】はすぐに見つかった。

【ごん】は下半身を川にうずめていた。

ごんちちが「来い」と声をかけると、【ごん】は「ひーん、ひーん」と鳴きながら川からはい上がろうとする。
しかし、泥に後ろ足がはまっているのか、抜け出せないようである。
再度「こい」と声をかけるが、【ごん】の「ひーん、ひーん」という声は更にはっきりしてきて、まったく出てこれないようである。

ごんちちはテレビで見たことがある、底なし沼にはまった馬を救出するシーンを思い浮べた。

夜9時30分頃であろうか、暗い川からは白い湯気が温泉のように出ていた。

ごんちちは2メートルの壁を飛び降り、【ごん】のリードと首根っこを引っ張り、なんとか川岸へ引き上げた。

【ごん】は川へ入ってしまった事を後悔したのか、2メートルの壁を2、3回登ろうとしたが、まるきり無駄な努力であった。
ごんちちも一人でよじ登るのがやっとだったので、どこかに登り口はないかと、川沿いを探したが、ない。

下にいる【ごん】を眺めながら、さてどうしたものか?と途方にくれていると、【ごん】が動きだして、止まった。そこには排水口のような穴があり、その横に、たぶん登り降りに使うであろう、太い鉄輪が3つほど出ていた。
ここを使うしかないな、と考えたごんちちは下に降り、川の水と泥にまみれた【ごん】をだかえ上げ、鉄輪に足をかけ、なんとか【ごん】を上に上げる事ができた。

夜でギャラリーがいなかったので、恥ずかしい思いをしなくて済んだが、周りに人がいたらちょっとした騒ぎになっていたに違いない。

川に入りたくて、普段なら飛べない高い壁を飛び降り、川へ突っ込んでいく【ごん】を思い浮かべると、笑わずにはいられないが、今後は少しは水に入るのをちゅうちょしてくれると良いのだが...

何せ、朝の散歩では、雪解けの、半分凍った水たまりに入って、ごろごろ寝転んで遊んでしまい、今日はこれで2回も風呂を汚す事になってしまったのだから...

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